式神。
風水。
守護霊。
アニメやゲーム、もちろんラノベにもよく出てくる単語だが、こいつらが有名になったのは、実は20年ほど前だったりする。
その原因は、ほとんど小説やマンガ。
タイトルがそのものズバリの夢枕獏「陰陽師シリーズ」とか、CLAMPの「東京BABYLON」なんかが有名じゃないかと思うが、陰陽師・風水ブームの元祖にはもっと上がいる。
その映画版について。
【帝都物語】
【実相寺昭雄】
【1988年1月30日】
【歴史・ファンタジー】

↑ごらんのとおり、DVDにもなってます。
さて、ストーリーを簡単に紹介。
時は明治45年。
京阪電車やサッポロビールの創立にかかわった実業家の渋沢栄一は、学識者から霊能力者までを集め、「帝都改造計画」をぶちあげる。
これは帝都・東京を軍事的にだけでなく霊的にも守護して、永遠に繁栄させつづけようという壮大なプランだった。
だが、改造計画を前に、ひとりの男が立ちふさがる。
彼の名は、加藤保憲。
大和朝廷に連なる現政府をうらむ加藤は、約千年前に関東で独立をたくらみ、果たせずに討伐された平将門の霊を呼びさまし、東京を壊滅させようとしていた。
彼は大蔵省職員の辰宮洋一郎をつかい、将門の霊を起こそうとするがはねつけられてしまう。
洋一郎で失敗した加藤は大地震の予知夢になやまされる妹・由佳里に目をつけ、彼女を使って将門の霊を降ろそうとする。
由佳里とつきあっていた鳴滝順一、なりゆきで由佳里に関わってしまった作家の幸田露伴と友人の森鴎外、渋沢の改造計画に参加していた物理学者の寺田寅彦と陰陽師の平井安昌らは、それぞれの出会いのすえ加藤と対決することになる──
原作は言わずもがな、荒俣宏の「帝都物語」第1巻~第4巻。
アラマタ先生は、トリビアでレギュラーやってるおじいさんですね。最近はアニメの監修もしてるらしい。
さて、映画本編ですが。
ストーリーはほとんど小説をなぞる感じ。85年に作られたことを考えれば、ハイビジョン合成や着ぐるみ以外の特撮技術がすばらしいとは思う。だがやはり、今から見ればしょぼい。
そんなもの以上にすごい点が、この映画にはある。
ズバリ、主演の嶋田久作。
最近は「ブラッディ・マンデイ」でうさんくさい教祖役をやっていた、背が高くガリガリでアゴの長い彼が、悪役・加藤を怪演してるわけです。
どれくらいハマっているかと言うと、
あとで発売されたアニメ版の加藤もアゴが長くなり、

↑アニメのDVDパッケージ。

↑劇中でもこのとおり。
小説が文庫になったときの表紙でもアゴが長くなり、

↑田島昭宇自重。
あげくのはてに、文庫版で容姿が書き直されるという原作者公認のモデル化が実現するほど。
本人の演技とか、しゃべり口とか、特殊効果ないのに光る目とか、まーとにかく存在感がヤバかった。
辰宮洋一郎役の石田純一とか、鳴滝順一役の佐野史郎とか、目立つ役者がふつうにいい演技してるのに、加藤がいると空気だったし。

↑DVDパッケージのシーン。映像いじってないのにこの眼光。
ちなみにアニメでも、加藤役の声優は嶋田さんです。
さらに、加藤は数々の派生キャラを生みだした。
みんな知ってる「ストリートファイターII」から登場のベガとか、

↑見たまんま。
ベガの元ネタらしい「力王」の鷲崎とか、

↑アゴとかね。
現在画像は用意できませんが、葛葉ライドウあたりも影響大と信じる。
ともあれ、彼一人がこの映画を食ったといってもいいわけです。
ある意味で、というまえおきがつくが、それでも技術面で大傑作。
まあストーリーや世界説明もなかなかドロドロしてて面白かったけど、原作読んでないとちょっと・・・という感じなので、ここは
オススメ度:☆☆☆★★
ということで、ひとつ。